ほんのよこみち なブログ

不登校とひきこもり→就労準備中の子を持つシングルマザーが、このくにで生きることを考えながら、本と好きなことを語ります。

ガブリエル・ガルシア=マルケスの『ある遭難者の物語』は、良質なドキュメンタリーというかたちのホラーでした。

 ほんのよこみちです。

ガブリエル・ガルシア=マルケスの『ある遭難者の物語』を読みました。

 

ある遭難者の物語 (アンデスの風叢書)

ある遭難者の物語 (アンデスの風叢書)

 

 

人名がやたらと出てくるけど、大丈夫!

 ガブリエル・ガルシア=マルケスの本は、年末に読んだ『予告された殺人の記録』に続き2冊目だったりします。

 

www.honno-yokomichi.com

 

なので、読み始めてすぐ、海軍水兵の長い名前が次々と登場してきたので、またか! と思いました。

スペイン語圏の人名って、長いし、カタカナばっかりだし、私は記憶力が衰えてきたし、で、ほんっとおぼえらんないんですもん。

予告された殺人の記録』の時は、田舎町の多くの人が登場人物だったので、ノートに人名リストを書き出しながらじゃないと、全然読み進められなかったんですよね。

なので、今回もノートに人名を書き出していました。

 

なんですけど。

これ、遭難者の物語じゃないか⁉

遭難してしまえば、それ以上人間ってたくさん出て来ないのではっ?

 

もう、心配するところちゃうやん? ってな話なんですけどね。

本を読んでて、挫折するポイントの一つに、当たり前のように出てきた登場人物が、誰だかわからなくて苦痛……というのがあるので(^_^;)

これ誰? となって、前のページをめくっている間に、結構前のページから読み直すことになって……ということを無限ループし始めて挫折、というパターン。

シリーズものなどで、新刊が出るたびに、最初から読み直さないと話が分からなくなっていて、読み直している間に他の本もつまみ食いしてしまい、結局記憶が薄れて最初から読み直し……という悪夢ですな。

私はこれを『アルスラーン戦記』でやってしまい、絶賛挫折中です、未だ( ̄▽ ̄;)

十二国記』も、20年くらい前に読んだ続きだから、大丈夫だろう……と思ったら、駄目だった……(~_~;)

 

ということで、今回12人くらいメモりましたが、まあその程度で大丈夫でした。

そういう意味で、この本は読みやすいです。情けない話ですが。

 

良質な文章は、ドキュメンタリーにもホラーにもなる。

遭難者の物語なので、いずれどこかで主人公が遭難するだろう、というのはわかってるんですが。

遭難するまでも、遭難してからも、なかなかホラーで怖かったです。

アメリカに停泊していたコロンビア海軍の駆逐艦が、母国への航海の途中で、何かが起こる……ということを思わせる書きっぷりが、ホント怖くて。

私が金づちだから、余計にそう感じるのかもしれませんが。

良質な文章というものは、良質なホラーになるということですかね、ドキュメンタリーだそうですけど。

船+遭難=水死は苦しい、という図式は出来上がっているので、読むのが苦しかったです。

苦しいけれど、文章がうまいからどんどん読めてしまうし、続きが気になって、やめられない止まらない~、なんですよ。

面白かったです。

 

文学としての、政治的告発。

巻末の「この物語について」というガブリエル・ガルシア=マルケスの文章で、この作品が、当時の政権側の不都合な状況を告発する内容になっていることを知りました。

私は軍にも自衛隊にも籍を置いたことはないので、気づかなかったんですが、「そこ⁉」と思うような部分に違法性があることに、驚きました。

ガブリエル・ガルシア=マルケス自身は、政治に関わることはなかったようですが、ジャーナリストとして、こういう仕事の仕方もあるんだなあと思いました。

真正面から、不都合な部分を突き付けるんじゃなくて、ね。

読みやすい文章だし、遭難事故自体の話題性もあったから、当時のコロンビアの方々は、皆さん読んで現実を知ったんでしょうね。

こういう方法は、政権によっては危険でもあるんですが、やっちまったガルシア=マルケスはすごいなって思います。

 

ドキュメンタリーなのかフィクションなのか。(ネタバレあり)

訳者あとがきで、ドキュメンタリーと思われていたこの作品に、フィクション疑惑があったことも記されています。

確かにすごくうまいし面白いので、フィクションと言われればそうかもしれない。

でも、文学としてはどっちでもいいじゃんって思うのですが、サバイバルスキルの見本市としては、どっちかはっきりして! って言いたい。

 

ネタバレになりますが、主人公は駆逐艦から投げ出されて、海を漂流します。

救命筏に乗れたものの、食料も水もなし。

それで、10日間も本当に生き延びられるのか?

もし、同様の状況に陥ったとき、この物語の主人公の行動をまねることは、生存確率を上げることにつながるのか?

結構、これ、重要だと思うんですよね。

もちろん、状況が違えば、使えるスキルも変わるだろうし、訪れる幸運も変わるだろうから、一概にマネすればあなたも生き残れる! とはいかないでしょうけど。

でも、海での遭難って、結構絶望的だから、少しでも生存確率の上がる方法は、知っておきたい!

 

なので、この遭難者のサバイバル技術を、科学的に検証してくれる人、募集します。

  1. カモメは生で食べられるのか。
  2. 鮫は毎日定時(17時)にやってくるのか。
  3. 海上漂流中に海水を飲んでも大丈夫なのか。
  4. 日陰のない筏にずっといると、日焼けで皮膚ははがれるのか。
  5. その他

ひょっとしたらYouTubeとかで、もうやっちゃってる人いるかもしれないけど、私は動画漁りをしないので、ごめんなさい。

検証レポートの同人誌とかあったら、買っちゃうでしょうね。誰かつくってないかなあ。

こうやって調べたいことがどんどん増えていくから、読書の途中挫折がより起こるんだよね。読んでる途中に、調べたいことの本を見つけたりして。

 

おわりに

この本は、水兵が遭難して、命からがら生き延びる物語です。

文章がホントうまいので、どんどん読めてしまいます。

そして、ずっと怖くて、ハラハラドキドキのしっぱなし。

面白かったです。

ガブリエル・ガルシア=マルケスって人は、本当に文学的才能の豊かな人だったんですね。

世界は広い。

まだまだ知らない文学があると思うと、わくわくします。

人生は一度きりですから、楽しんでいきましょう。

ありがとうございました。m(_ _)m

 

 

ある遭難者の物語 (アンデスの風叢書)

ある遭難者の物語 (アンデスの風叢書)