ほんのよこみち なブログ

不登校とひきこもり→就労準備中の子を持つシングルマザーが、このくにで生きることを考えながら、本と好きなことを語ります。

吉川英治『三国志』(5)から気づく、劉備は不本意な人生を歩んでいたのかもしれない。

 ほんのよこみちです。

ぼちぼち読んでる吉川『三国志』も5巻まで来ました。

 

三国志(5)(吉川英治歴史時代文庫 37)

三国志(5)(吉川英治歴史時代文庫 37)

 

 

 

三国志名場面集巻!

この巻は、何と言っても赤壁の戦いです。

というか物語としては、趙雲の見せ場である長坂破から、赤壁の戦いを経て、劉備軍が荊州を攻め取るまで……というあたり。

どんなアレンジ版でも、絶対に外せない、名エピソードてんこ盛りな頃ですね。

10年ぶりくらいの再読で、細かいエピソードをぼろぼろ忘れていても、この巻はだいたいおぼえていましたよ。

というくらい、三国志を語る上で欠かせないエピソード集巻なので、最近読み始めたよ~という方も、がんばってここまで読んでください❕

ここまで読めば、いろんなネタについていけるから❕

逆に、この巻のエピソードは有名なものばかりなので、これまで人名や地名が紛らわしくて疲れた……という方も、復習感覚で読めるかもしれません。

そして、戦いの結果がわかっていても、やっぱりハラハラしちゃうんですよね~。

面白い巻です。

 

三国時代一の美丈夫・周瑜が出まくり!

赤壁の戦いと言えば、なんか孔明が裏で糸を引いて、周瑜を躍らせている……というふうな書き方をされていたりもしますけど。

やっぱり赤壁の主将は呉の周瑜でしょう。

美丈夫美丈夫と言われたって、小説じゃ顔なんかわからないんだから、どうでもいいじゃん? なんですけど、やっぱり美丈夫と言われた方が読むのは楽しい……って、最早セクハラなんだけどな💦

周瑜の場合、単なる美丈夫ではなく、呉の水軍大都督として魏の水軍を撃った、まあそこですよね。

ただ、やっぱり水軍の人だったのかなあ……と思ってしまうのは、陸上戦の結果が芳しくないこと。

これは呉の軍備が水軍に偏っているように見えることと、呉主・孫権の若さゆえなのかもしれませんが。

孫権は兄・孫策に比べると、軍事には弱いんですよね。

そんな孫権を、孫策の親友でもあった周瑜が、一生懸命支えている。

応援したくなる人ですね。(でも、孔明趙雲の方が好きなんですが)

 

諸葛亮は、やっぱり持ち上げすぎでしょう。

そして、赤壁の黒幕みたいな描かれ方をよくされる、孔明さんです。

まあ確かに、呉を開戦に引きずり込んだのは、諸葛亮かもしれません。

呉が魏と手を組んだら、もう劉備一派に生き残るすべはないですからね。

でも、すべてを孔明が見通していた……みたいな扱いは、どうですかね?

火攻めにあって落ち延びる曹操軍の行く手に、伏兵をあちこち配置しておいた……というのも、地形と心理を読んだら、別に孔明じゃなくとも、考えられそうな気がしませんかね。

道だって、都市部の街中みたいに、あちこち張り巡らされてるわけじゃないし。

関羽が命令違反をするかもしれない、と先に読んでいたとかいうくだりも、明らかに後世のつけたしという気がします。

あらかじめ読んでいたのなら、もっと別の人員配置にしたと思うので。

少なくとも、もし関羽が撃ち漏らしたとしても、趙雲あたりにリカバリーさせるとか、そういう配置にしたと思うんですよね。

だから、あの指令は孔明のミスだし、孔明も人間だということですよ。

 

劉備は、本当は英雄なんかになりたくなかったのかもしれない。

劉備はこの巻でも、孔明に頼りっきりという感じです。

なにかを決断するとき、全部孔明に訊いてる……って、主君はどっちだよ、おい。

ここに来るまで、奥さんが二人いた劉備くんも、その二人の奥さんに先立たれて、この巻で新たな伴侶を迎えます。

しかも、親子ほど年の離れた、孫権の妹を!

この呉妹君、気が強く、利発な夫人で、劉備はぞっこんになり、天下のことも部下たちのことも忘れて、呉の屋敷で夫人とラブラブ新婚生活に夢中になるんですよね。

主君にあるまじき行為(~_~;)

というか、実は劉備って、もともとそういう質の人間なのかもしれません。

これまでも、挙兵してちょっと失敗したら、有力な地方の名家のところに転がり込んで、惰眠を貪ること複数回。

そもそも親孝行第一の人で、戦って死ぬことより、はいつくばってでも、生き延びて帰宅することを優先させてたような人ですからね。

母親が「あなたは漢王室の血筋を引くのだから、立ち上がらなければいけません」と背中を押し続けたから、なんとなくその気になっただけで。

本当は、歴史の表舞台に出るとか、好きじゃなかったのかもしれません。

なんでもない、日常の幸せが一番、という人だったのかも。

母親がたきつけなければ、筵折り職人として、天寿を全うしていたんだろうな。

貧乏だけど善良な人というので、つつましいながらも、幸せな生活を送っていたんだろうな。

そう思うと、劉備も彼の部下たちも、すごくかわいそうになってきました。

こんなのを主君と仰がなきゃいけなくて、且つ主君の怠惰まで戒めなきゃいけない、孔明趙雲の哀しさよ。

そりゃ、蜀って短命だよなあ。

 

やっぱり曹操はデキる主君だ!

で、結局、曹操の株が上がってしまうわけですよ。

劉備に比べたら、曹操の安定ぶりってどうよ。

まず一切の迷いがない。

曹操は天下を取って国づくりをする、それしか考えていないふうなので、個人としてより公人として生きてるんですよね。

そりゃ人間だから、間違いもするし、失敗もするし、アウトな部分もある。

でも、筋が通ってるんですよ、やることの。

現実逃避なんてしない。

部下の命を背負う、その重みに気づいている。

デキる男ですよねえ~。

 

長い小説からわかるのは、キャラクター個々の人間性

結局、覚悟を決めてる曹操と、ゆらゆら逃げ腰の劉備と、青二才の孫権と、各々キャラクターがつかめてくると、読んでいても面白いです。

本文に書かれていないキャラ心理まで、伝わってきますからね。

そうして読んでいるうちに、キャラクターが自分の悩みを代弁するような行動に出てくれたり。

結構コレ、下手な自己啓発本より、びしばし伝わってきます。

だから、面白い。

三国志』は、ぜひおすすめしたい作品です。

 

三国志(5)(吉川英治歴史時代文庫 37)

三国志(5)(吉川英治歴史時代文庫 37)