ほんのよこみち なブログ

不登校とひきこもりの子を持つシングルマザーが、このくにで生きることを考えながら、本と好きなことを語ります。

【芸術】『新しい広場をつくる 市民芸術概論要綱』を読む

平田オリザさんの『新しい広場をつくる 市民芸術概論要綱』を読みました。

以前読んだ、『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』で、平田オリザさんとのコラボ(ロボット演劇)が書かれていたので、気になったんですね。

【科学】『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』 - ほんのよこみち

 

 

で。

この本は2013年の本ですので、多分、平田オリザさんのご活躍が、近年の新しい生き方ブームともいえる流れの一端を、つくられているのだと思います。

モノの売れない時代、コト消費の時代だというのは、どこでも言われていることですよね。

さらに言えば、政治でも経済でも三流に成り下がっている日本が、世界の中で対等に渡っていくには、芸術文化に力を入れるしかない。

また、現代の広場(コミュニティ)づくりとして、劇場や美術館、博物館、図書館の果たす役割は大きい。

そのような点について、実例をあげながら、わかりやすく解説されているのが、この本です。

 

 

この本の第二章で、「東大までの人」「東大からの人」というのをあげられています。

その差は、子どもの頃から芸術に親しんだりさまざまな体験・経験をする機会があったかどうか。

つまり、単に勉強ができるだけの人は「大学までの人」で、プラス美的センスやコミュニケーション能力がなければ、その後はついていけない、ということですね。

 

 

私は東大どころではない地方の小さな大学出身ですが、それでも、芸術に親しむ機会が全然なかった子ども時代……というのは、ネックになっている気がします。

なにしろ、美的センスゼロ(苦笑)

センスのいい……というのがどういうものか、最初わからなかったくらいですから。(今もわかっているかどうかは疑問)

コミュ力もなく、周囲の人たちの話についていけず……昨今も苦労しています。

 

 

私、舞台、観に行ったことがないんですね。

高いし。うちの田舎には、たまに劇団四季がくるぐらいだったし。

演劇の入って来ない生活をずっとしていると、観ないのが当たり前になってしまうんですね。

絵も、郷里にいた頃は、美術館に見に行くという発想がそもそもなかった。

というか、お金を払って絵を見に行くという発想がなかった。

どうせお金を出すなら、手元に残るものに使わないと……という思考で、本ばかり買ってました。

たいした本は買ってないんですけどね。

でも、これが、ホンモノに接する機会のない、地方民の沼なのかもしれません。

 

 

芸術は、なくても生きていけるものかもしれませんが、取り入れた方がチャンスも広がるし、生きづらさの支えにもなると思います。

 

 

それに、質のいい演劇を毎夜上演することで、外国人観光客を掴んだ方が、絶対いい。

富裕層の観光客にじゃんじゃんお金を使っていただいて、経済を回しましょう。

富裕層向けの観光ビジネスにしてしまうと、「自分たちが受益できない」という不満は必ず出ますが、そこは「消費者視点」ではなく「ビジネス視点」で考えましょう。

高品質高価格なサービスを提供してはじめて、富裕層が日本に来てくれるんです。

自分の仕事が1000円の価値か1万円の価値か……だったら、1万円の評価の方が嬉しいですよね。

芸術を起点にして、日本のブランド力が上がれば、親日派ももっと増えてくれるかもしれないし。

そういう草の根外交・防衛こそが、資源のない島国、戦争に向かない国民性に、必要なものではないでしょうか。

 

 

以上のようなことを考えるのに、非常に有益な本でした。

焦って行動しても仕方ないのですが、気の向くまま、芸術に親しんでみようかなという気にさせてくれました。

芸術を創造する、ということは私にはできませんが、良いものをつくってくれた方が皆のためにいい、ということはわかるので、そういう方向でできることをしたいと思います。

これは面白い本です。

 

新しい広場をつくる――市民芸術概論綱要